FP: Windows10+mobaXterm による演習環境の構築
目次
- はじめに
- mobaXtermの準備
- mobaXtermの環境設定
- 演習に必要な各種アプリケーションのインストール
- Rubyプログラムの作成とirbによる実行
- C言語プログラムの作成とGCCによるコンパイル/実行
- mobaXterm によるPPM画像および動画(アニメーション)の表示
- (付録) テキストエディタの紹介
1. はじめに
本ガイドでは、「基礎プログラミングおよび演習」の授業について、
個人所有のPC内でプログラム作成他の演習を完結させるための環境構築方法を解説します。
OSは Windows10 、アプリケーションは mobaXterm を利用します。
Macを使用している人は別ページを設けていますので、そちらを参照してください。
注意事項
本ガイドに基づいて演習環境を構築し、授業の演習を進める場合は、次の注意事項に留意してください。
- 個人所有のPCはそれぞれ環境が異なりますので、授業時間中のサポートはしません
- 授業期間前に、事前環境設定の時間を設けていますので、活用してください
- その後に疑問点がある場合は、フォーラムに投稿するか、本授業を対象とした「ZOOMによるサポート」を活用してください
2. mobaXtermの準備
環境構築に先立ち、Windows10で mobaXterm を利用できるように設定しておく必要があります。
この設定が済んでない人は、次のリンク先にある資料から、mobaXtermの設定を済ませてください。
3. mobaXtermの環境設定
mobaXterm自体の環境設定をおこないます。
次の手順のとおりに設定してください。
- mobaXtermを起動して、ウィンドウ上部にあるアイコン「Settings」をクリックします

- 「General」タブにある次の2つの欄を、マウス操作によりそれぞれ設定します
- Persistent home directory
欄右側のフォルダアイコンをクリックし、フォルダ選択ウィンドウで、
「PC」 → 「ドキュメント」を選択します。

- Persistent root (/) directory
欄右側のフォルダアイコンをクリックし、フォルダ選択ウィンドウで、
「デスクトップ」直下にある mobaXterm 格納フォルダを選択します。

- それぞれ次の画像のとおりに値が設定されます。
適切に値が設定されていることを確認して、「OK」ボタンをクリックします

- moteXtermを再起動するよう促すウィンドウが表示されますので、「はい」をクリックします

- 再起動が完了したら、mobaXtermの環境設定は終了です。
- 「Windows セキュリティの重要な警告」ウィンドウが表示される場合は、チェックを入れて、
「アクセスを許可する」ボタンをクリックしてください

演習で必要となる次の3つのアプリケーションをmobaXtermにインストールします。
- Ruby(irbの利用)
- GCC(C言語コンパイラ)
- ImageMagic(PPM画像、および動画(アニメーション)ビューア)
手順を次に示します。
- mobaXterm を起動して「Start local terminal」ボタンをクリックし、
ターミナルから次のコマンドを実行します(青字が入力部分)
> apt-get -y install ruby gcc-core ImageMagick ※← 大文字/小文字の入力を誤らず、正確に入力すること
実行直後に各種の関連ツールをインストールする旨が表示され、以降、自動でインストール処理が進みます。

- (ネットワーク環境にもよりますが)概ね10分~20分ほどで処理が完了します。(次の画像は途中画面)

- ターミナルからコマンドが入力できるようになったらインストール処理は完了です。(次の画像は完了画面)

以上でアプリケーションのインストールは完了です。
5. Rubyプログラムの作成とirbによる実行
第1章の演習ガイドと同様の手順を踏み、irbの動作確認をします。
最初のプログラムの作成
- 本授業の学習用のディレクトリに移動(ディレクトリ名は「fp21」を推奨)
> mkdir fp21
> cd fp21
- Windowsでは、「メモ帳」アプリケーションを利用して、演習のプログラムを作成します。
> notepad sample1.rb &
→ 「新しく作成しますか?」のウィンドウに「はい」を選択する

- メモ帳に、次のプログラムを入力します。
def triarea(w, h)
return (w * h )/ 2.0
end

- 入力が完了したら、メニューの「ファイル」 → 「上書き保存」で保存し、
「ファイル」 → 「メモ帳の終了」でメモ帳を終了します。

- 次の「irbの利用」に進む。
irbの利用
irbとは、Ruby言語の「REPL」(read-eval-print loop)、すなわちプログラムの断片を入力して実行するツールです。
使い方の手順を次に示します。
- mobaXtermから、「irb」コマンドで起動します。
本授業のテキスト記載の使い方では、起動してから「load "ファイル名" 」でファイルを読み込み、
続いて「メソッド(パラメタ…)」で定義したメソッドを実行します(青字が打ち込んだもの)。
> irb
irb(main):001:0> load "sample1.rb"
=> true
irb(main):002:0> triarea(8.0, 7.0)
=> 28.0
irb(main):003:0>
なおRubyでは、メソッド呼び出し時の丸かっこは省略できます。
irb(main):002:0> triarea 8.0, 7.0
=> 28.0
どちらも同じ挙動になることを試してみてください。
- 簡単な計算や命令は直接その行を打ち込んで実行しても大丈夫です。
irbを終わらせるには「quit」と入力します。
irb(main):003:0> 1.0 / 3.0
=> 0.3333333333333333
irb(main):004:0> printf("%.20g\n", 1.0 / 3.0)
0.33333333333333331483
=> nil
irb(main):005:0> quit
>
実際の実行例です。

- 以後、上記と同様に、次の操作の繰返しで課題を解いてゆくことができます。
- 「sample1.rb」に追記したり、その他のRubyプログラムファイルを新規に作成する
- irbから「load "ファイル名"」でRubyのプログラムを読み込む
- プログラム動作を確認する
- 「sample1.rb」などのプログラムファイルをメモ帳以外のアプリケーションで編集したい場合は、
次の「open」コマンドでWindowsのエクスプローラを表示し、作成したファイルを直接操作することができます。
> open ./ ※ ← 最後の ./ は「カレントディレクトリ」の意味

以上で、「Rubyプログラムの作成と irb による実行」が完了となります。
以降はテキストの各章を参照して、演習を進めてください。
6. C言語プログラムの作成とGCCによるコンパイル/実行
mobaXtermにインストールした GCC の動作確認をします。
併せてC言語プログラムの作成、コンパイルおよび実行例を示します。
この手順は、11章からはじまるC言語プログラムの演習で利用します。
- 「メモ帳」アプリケーションを利用して、テキスト(第11章)の例題プログラムを作成します。
mobaXterm のコマンドを次のように実行します。
> notepad triarea.c &
→ 「新しく作成しますか?」のウィンドウに「はい」を選択する
- メモ帳の画面に切り替わったら、次のプログラムを入力します。
// triarea --- area of triangle
#include <stdio.h>
double triarea(double w, double h) {
double s;
s = (w * h) / 2.0;
return s;
}
int main(void) {
double w, h, s;
printf("w> "); scanf("%lf", &w);
printf("h> "); scanf("%lf", &h);
s = triarea(w, h);
printf("triarea = %g\n", s);
return 0;
}
- 1文字でも誤りがあると、後のコマンドでコンパイルエラーが発生します。
内容をよく確認して、誤りなくプログラムを作成してくたさい。

- 入力が完了したら、メニューの「ファイル」 → 「上書き保存」で保存し、
「ファイル」 → 「メモ帳の終了」でメモ帳を終了します。
- 次の「gcc」コマンドにより、GCCによるC言語プログラムのコンパイルを確認できます。
> gcc triarea.c
コンパイルエラーがでる場合は、次の手順を繰り返してエラーを除去してください。
- メモ帳を開いてプログラムを見直し、誤りを修正する
- 修正ができたら、メモ帳のメニューから「ファイル」 → 「上書き保存」を行う
- 「gcc ファイル名」でコンパイルする
対処方法に行き詰まった場合は、Moodleのフォーラムなどで、状況を詳述した上で質問してください。
- gcc コマンドでエラーが出なければ(特段の出力がなければ)、次のコマンドでC言語プログラムを実行できます。
> ./a.exe ※ ← solの環境では「a.out」と入力するが、mobaXtermでは 「./a.exe」と入力する。先頭の ./ も必須
w> 7
h> 5
triarea = 17.5
- 上記の手順をまとめます。
- C言語プログラムファイルを新規に作成する(「notepad ファイル名 &」)
- 「gcc ファイル名」でコンパイルを行う
- コンパイルエラーがでる場合は、プログラムを見直し修正する
- 修正が完了したら、メモ帳のメニューから「ファイル」 → 「上書き保存」を行う
- 「gcc ファイル名」でコンパイルを行う、を繰り返す
- 「./a.exe」で プログラム動作を確認する
- プログラムの動作がおかしい場合は、プログラムを見直し修正する
- 修正が完了したら、メモ帳のメニューから「ファイル」 → 「上書き保存」を行う
- コンパイル以降の手順を繰り返す
- 「triarea.c」などのC言語プログラムファイルをメモ帳以外のアプリケーションで編集したい場合は、
次の「open」コマンドでWindowsのエクスプローラを表示し、作成したファイルを直接操作することができます。
> open ./ ※ ← 最後の ./ は「カレントディレクトリ」の意味

以上で、「C言語プログラムの作成とGCCによるコンパイル/実行」が完了となります。
以降はテキストの各章を参照して、演習を進めてください。
7. mobaXterm によるPPM画像および動画(アニメーション)の表示
本授業では、5章および6章でPPM画像の作成演習をおこないます。
また、15章で動画(アニメーション)の作成演習をおこないます。
mobaXterm でPPM画像および動画を確認するには、先に紹介した ImageMagick を
mobaXterm 内にインストールした上で、mobaXterm のターミナルからそれぞれ次のコマンドを実行します。
PPM画像の表示
> display t.ppm &
次のようなウィンドウが表示され、作成したPPM画像を確認できます。
本コマンドは、当該の章の演習を実施し、自身のPPM画像の生成が終了した後に確認してください。

動画(アニメーション)の表示
> animate img*.ppm & ※←PPM画像のアニメーション表示(テキストと同じ)
次のようなウィンドウが表示され、作成した動画を確認できます。
本コマンドも、当該の章の演習を実施し、自身の動画の生成が終了した後に確認してください。

アニメーションGIFの生成と表示
PPM画像を束ねて、アニメーションGIFを作成するコマンドもテキストと同じです。
アニメーションGIFは、エクスプローラを開いてWindowsアプリケーションから確認できます。
本コマンドも、当該の章の演習を実施し、自身の動画の生成が終了した後に確認してください。
> convert -delay 5 img*.ppm out.gif ※←アニメーションGIF に変換(テキストと同じ)
> open ./
→ エクスプローラから、"out.gif" ファイルをダブルクリックする

以上で「Windows10+mobaXterm による演習環境の構築」は完了となります。
8. (付録) テキストエディタの紹介
Windowsに標準で付属する「メモ帳」アプリケーションは、テキストデータを作成するのに
必要最低限の機能のみが提供されています。
Windowsでは「メモ帳」の他にも、プログラムのキーワードを自動で色づけしてくれるなど、
プログラミングに便利な種々の機能を備えたテキストエディタが利用できます。
テキストエディタの紹介記事もWeb上で多数掲載されていますので、興味がある人は
自身に使いやすいものを調べて導入してみるのも良いでしょう。
参考リンク
なお、上記エディタの動作や設定に関することは、本科目ではサポート対象外となります。
フォーラムに質問を投稿してもらっても結構ですが、回答は保証されません。
その旨をご了承の上で、学生同士で助け合って学習を進めてもらえればと思います。